「うちの子、いつも口が開いている」「舌がいつも前に出ていて前歯が開いてきている」
こうしたお悩みをお持ちの保護者の方は多いのではないでしょうか。
実は、歯並びや噛み合わせに大きく影響しているのが「舌・唇・頬などお口まわりの筋肉の使い方」です。これらの筋肉のバランスを整えるトレーニングが、MFT(筋機能療法:Myofunctional Therapy)です。
本記事では、MFTの基本から矯正治療との関係、自宅でもできるトレーニングの一部をわかりやすく解説します。
1. MFTとは何か?
MFTとは、舌・唇・頬・顎などの口腔周囲筋(こうくうしゅういきん)の機能を改善するためのリハビリテーションです。
「筋機能療法」とも呼ばれ、歯科・矯正歯科の分野で広く取り入れられています。
MFTが必要とされる主な理由
- 舌や唇の力が弱いと、歯に不均衡な圧力がかかり続ける
- 誤った筋肉の使い方が、歯並びや顎の発育を妨げる
- 矯正装置だけでは解決できない「癖」の根本に働きかける必要がある
MFTで改善が期待できる主な症状
- 開咬(前歯が噛み合わない)
- 口呼吸・いびき
- 舌突出癖(飲み込むとき舌が前に出る)
- 指しゃぶり・爪噛みなどの口腔習癖
- 発音の問題(サ行・タ行の不明瞭さなど)
2. 口呼吸・舌癖が引き起こす問題
「子どもが口を開けたまま寝ている」、「食事中に音が出る」などが気になる場合は、口呼吸や舌癖が関与している可能性があります。
口呼吸のリスク
本来、私たちは「鼻呼吸」が正常な状態です。口から呼吸をすると次のような問題が生じやすくなります。
- 口の中が乾燥し、虫歯・歯周病のリスクが上昇する
- 舌が下がり、前歯を内側から押す力がなくなる
- 上顎の発育が妨げられ、歯列が狭くなる
- 集中力の低下・睡眠の質の悪化を招く場合がある
舌癖(ぜつへき)とは
舌癖とは、安静時や嚥下(飲み込み)時に舌が正しい位置におさまらない習慣のことです。舌が前歯の裏に常に触れていたり、飲み込む際に舌が前に突き出たりする「舌突出癖」が代表的です。
舌は非常に強い筋肉です。1日に約2,000回の嚥下を行うとも言われており、その度に誤った方向への圧力がかかることで、歯は少しずつ動かされてしまいます。
また、正しく舌が使えるようになると嚥下(食べ物を飲み込む)時に、食塊を喉に送る助けになっててくれます。舌が上に挙がらないと、食事中はいわゆる丸のみ状態になります。
3. 矯正治療とMFTの組み合わせ
「矯正装置をつければ歯並びは治る」と思われがちですが、口腔周囲筋の問題を解決しないまま矯正を行っても、治療後に歯が元の位置に戻ってしまう「後戻り(リラプス)」が起こることがあります。
| 矯正治療のみ | 矯正治療+MFT |
|---|---|
| 歯は動かせる | 歯を動かしながら筋肉も正常化 |
| 筋肉の癖が残る場合がある | 癖の根本改善を同時進行 |
| 後戻りリスクが残ることも | 後戻りリスクを軽減 |
| 装置依存になりやすい | 自力で維持できる機能を育てる |
MFTは矯正装置の効果を最大限に引き出すと同時に、治療後の安定した状態を長期的に維持するための重要なサポートです。お子さまの成長期(特に小学生年代)に取り組むことで、顎の発育と歯列の形成に良い影響を与えることも期待できます。
当院ではどなたでも矯正治療と同時進行でMFTを行っております。一番最初のトレーニングやトレーニング内容を変更する場合、自宅でも確認できるよう動画を撮影させていただき、公式LINEにて送信しております。
一番最初の状態にさかのぼって確認することで、舌や唇の筋肉の使い方の経時的変化をご自身で確認していただくこともできます。
4. 自宅でできるMFTトレーニング
MFTは歯科医院でのトレーニング指導を基本としますが、日々の自宅練習が効果を大きく左右します。
ここでは、代表的なトレーニングをご紹介します。いずれも道具不要で、毎日数分で取り組めます。
① スポット(舌の正しい位置を覚える)
舌の正しい安静位(スポット)を習慣化するトレーニングです。
- 上の前歯の少し後ろ(歯茎と口蓋の境目あたり)に舌先を当てる。
- その位置を「スポット」と呼び、10秒ほど当てたままキープする。
- 1日10~20回を目安に行い、食事・会話以外の時間もいつもスポットに舌を置く習慣をつける。
このトレーニングの目的は、舌に動きをつけることと、舌を挙上する意識を身に着けることになります。
② ポッピング(舌の筋力増強)
舌全体を上顎(口蓋)に吸い付け、「ポン」と音を立てて離します。
- 口を大きめに開けます。
- 舌全体を上顎にしっかり吸いつけます(舌の裏のスジが伸びる感覚)。
- 2~3秒吸い付けたら離して「ポン」と音を出す。1日10〜20回を目安に行います。
このトレーニングの目的は、舌の筋力をつけることで、挙上するための維持力を鍛えることです。
③ バブル(口唇の圧力軽減やお口ポカンの改善)
口呼吸の改善には唇を閉じる筋力が必要です。
- 上唇に空気を溜め、圧が逃げないよう口唇を閉じておきます。
- その次に下唇、右頬、左頬の順に同じように空気を溜め、空気を漏らさないよう内側から空気で押します。
- それぞれ1回10秒ずつ10回1セットを1日のノルマとして行います。
このトレーニングの目的は、唇・頬周りの筋肉を鍛え、力が元々強い方は無駄な力が入りすぎないようにし、力が元々弱い方は口唇を閉じる筋肉を鍛えていくことです。
⚠ トレーニングを始める前に
自己判断での開始も可能ですが、まずは歯科医院での直接診察・指導を受けることをおすすめします。
お子さまの口腔状態や年齢によって適切なトレーニング内容は異なります。歯科医師・歯科衛生士と連携しながら取り組むことで、より確かな効果が期待できます。
5. MFTは「歯並びを守る習慣」をつくる
MFTは、お子さまが生涯にわたって健康なお口を保つための「土台づくり」と言えます。
歯並びは矯正装置で整えることができますが、その歯並びを維持するのはお口まわりの筋肉です。
早い時期に気づいて適切なトレーニングを始めることで、矯正治療の期間短縮や、将来の後戻りリスクの軽減が期待できます。
「うちの子は大丈夫かな?」と感じたら、ぜひ一度、当院までご相談ください。
無料で相談できますので、ご興味がある方は当院のホームページの「無料カウンセリング予約」からご予約をお取りいただけます。
また、ホームページ最下部にあるLINEのアイコンから「公式LINE」を登録していただき、相談前に質問していただくことも可能ですので、お気軽にご利用ください。
スタッフ一同、ご来院を心よりお待ちしております!











