現在、転院相談・再治療相談に関わる費用は、相談時に22,000円となっております。
2026年9月以降の新規予約から転院相談・再治療相談に加えて、保定治療のみご希望の方も対象になり、費用は初診時に55,000円に変更いたします(8/31現在ですでに、ご予約を取られている方は22,000円になります。)
保定治療のみご希望の方は、「保定装置の破損」、「固定式保定装置の脱離」、「保定装置の確認」が主な対象になります。
矯正治療は、ただ歯を動かして終わりではありません。
治療期間そのものと同じくらい、あるいはそれ以上に、「治療後どう安定させるか」「万一のときにどう対応できるか」が仕上がりの質を左右します。
それを決めるのは治療開始時の担当医の判断が重要であり、他の矯正医が簡単に解決できる問題ではないことが多いです。
今回は、矯正治療を検討中の方や治療中の方からよくご質問をいただく「後戻り」のリスクと、治療途中での「転院・再治療」に伴うリスクについて、当院の考え方も含めて詳しくご説明します。
1. 矯正治療における「後戻り」とは
「後戻り」とは、矯正治療によってきれいに並んだ歯が、治療終了後に再びもとの位置に近づくように動いてしまう現象です。程度の差こそあれ、矯正治療を受けたすべての方に起こりうるリスクとされています。
歯やあごの骨は、矯正治療で新しい位置に動いた直後はまだ不安定で、周囲の歯根膜や骨がその位置に馴染むまでに時間がかかります。この安定化の途中で歯を支える装置(保定装置・リテーナー)の使用を怠ると、歯は動きやすい方向、つまりもとの位置へと戻ろうとします。また、加齢に伴うあごの変化や、舌で歯を押す癖、口呼吸といった生活習慣も後戻りの一因になります。
後戻りを防ぐ上でもっとも重要なのが、治療後の「保定期間」です。
当院では他院の標準よりも長い3年間の保定期間を設け、保定装置の費用も治療費にあらかじめ含める形でご案内しています。これは、後戻りが起こりやすい期間をしっかりカバーし、装置の使い分けをためらわずに続けていただくための方針です。
後戻りは装置さえ正しく使い続ければ多くの場合防げるものですので、治療が終わった後こそ油断せず、保定装置の使用と定期的な経過観察を続けていただくことが何より大切です。
2. 治療途中で「転院」を考えるきっかけ
矯正治療は1年半〜3年程度と長期にわたるため、途中で以下のような事情から転院を検討される方がいらっしゃいます。
- 引っ越しや転勤など生活環境の変化
- 担当医との相性や治療方針への不安
- 治療の進み方や費用に対する疑問
などが代表的な理由です。こうした事情そのものは自然なことですが、矯正治療における転院は、虫歯治療などとは異なる特有のリスクを伴う点に注意が必要です。
また、前提として二重契約を回避するため転院前の契約が終了(返金対応など)していることが治療を引き継ぐ条件になりますので、しっかりと担当医と話し合った上で転院を検討してください。
3. 転院・再治療に伴うリスク
矯正治療の「転院」は、単に通う医院を変えるだけではありません。以下のようなリスクが伴います。
まず、治療計画の一貫性が失われるリスクです。矯正治療は、初診時の精密検査データをもとに、歯を動かす順番・方向・力のかけ方を緻密に計画して進めるものです。途中から別の医師が引き継ぐ場合、前医がどのような意図でその時点までの動きを設計したのかを完全に把握することは難しく、治療計画の一部を組み直さざるを得ないことが少なくありません。
次に、資料の再取得が必要になる点です。レントゲン写真、歯型、口腔内写真などの精密検査を、多くの場合あらためて撮り直す必要があります。これは身体的・時間的・費用的な負担が増えることを意味します。前医の資料をそのまま活用できるケースは限られます。
さらに、治療期間の長期化と追加費用の発生も避けられません。計画の見直しや検査のやり直しによって、当初の予定より治療が長引き、結果として総額の費用も増える傾向があります。前医が使用していた装置が必ずしも当院で使用できるとは限らないため、当院で新たな装置に切り替える費用が必要になることが多いです。
そして見落とされがちなのが、保定・仕上がりに対する責任の所在が曖昧になるリスクです。治療途中で担当医が変わると、万一後戻りや噛み合わせの不具合が生じた際に、それが前医の治療に起因するのか、引き継いだ後の治療に起因するのかの切り分けが難しくなります。
結果として、どちらの医院も十分な責任を持って保証・保定管理をしにくい状況が生まれてしまうことを避けるため、基本的に矯正治療開始時に通われていた医院の担当医に診てもらうことを推奨しております。
4. 当院が転院・再治療を受け入れていない理由
このような背景から、当院では他院で治療を開始された方の転院・再治療は基本的にお受けできないことが多いです。理由は次の通りです。
①診断・治療計画の一貫性を保つため
矯正治療の精度は、初診時の診断と治療計画にどれだけ一貫性を持たせられるかにかかっています。他院の治療計画や装置の意図が不明なまま引き継ぐと正確な診断ができず、責任を持った治療の継続が困難になります。
②レントゲン・資料を一から取得し直す必要があるため
前医の検査データや治療記録だけでは、現在の歯根や骨の状態を正確に把握するには不十分なケースがほとんどです。前医の治療により歯根や骨の状態が悪い場合、当院での治療をお断りせざるを得ない可能性が高いです。
③保定・仕上がりの責任の所在を明確にするため
途中から引き継いだ治療で後戻りや仕上がりの不具合が生じた場合、その原因がどちらの治療に起因するかを切り分けることができず、保証・保定管理の責任を当院として適切に負うことができません。
④初診からの一貫治療のみを方針としているため
当院は開院当初より、初診相談・精密検査・治療・保定までを同じ医師が一貫して担当する体制をクリニックの方針としています。料金システムも矯正装置代や調整料を含むトータルフィー制度としているため、当院は来院する度に調整するというシステムではないことをご了承ください。
これらは、転院を希望される方を突き放すためのものではなく、矯正治療という長期的な医療行為に対して、当院が責任を持てる形でしか治療を提供できないという考えに基づくものです。
5. どうしても転院が必要な場合に気をつけたいこと
引っ越しや進学により、やむを得ない事情で転院が必要になる場合は、次の点を意識すると、リスクをできるだけ抑えることができます。
まず、現在通院中の医院に対して、これまでの検査資料(レントゲン写真、歯型データ、口腔内写真、治療計画書など)の開示を早めに請求しておきましょう。多くの医院では所定の手続きで資料の提供やコピーに対応しています。転院先の医院での再検査の負担を減らせる可能性があります。
次に、転院先を選ぶ際には、初診カウンセリングの時点で「これまでの治療経過をどこまで正確に評価できるか」「治療計画をどう組み直す予定か」「保定・仕上がりの責任をどう考えているか」を率直に質問し、納得できる説明をしてくれる医院かどうかを見極めることが大切です。
まとめ
矯正治療は、治療中の歯の動きだけでなく、治療後の安定(保定)まで含めて一つの医療行為です。後戻りは保定装置の適切な使用と経過観察によって多くの場合防ぐことができますが、治療途中での転院・再治療は、計画の連続性や責任の所在という点で独自のリスクを伴います。
当院が他院からの転院を受け入れていないのも、この一貫性と責任の所在を大切にしているためです。矯正治療を検討される際は、長期的に信頼して通い続けられる医院かどうかを、治療開始前にじっくり見極めていただくことをおすすめします。
最後に改めてご案内しますが、
2026年9月以降のご予約から転院相談・再治療相談に加えて、保定治療のみご希望の方も対象になり、費用は初診時に55,000円に変更いたします(現在すでに、ご予約を取られている方は22,000円になります。)
保定治療のみご希望の方は、「保定装置の破損」、「固定式保定装置の脱離」、「保定装置の確認」が主な対象になります。
ご理解いただけると幸いです。




